【海外移住への第一歩】海外転出届の提出方法と重要ポイントを現役駐在員がわかりやすく解説
「海外移住が決まったけど、何から始めたらいいか分からない」
「役場への転出届の方法が知りたい」
「海外転出届の他に手続きすべきことはある?」
海外移住を考えるとき、何から始めればいいか悩んでしまう方は多いです。特に長期滞在を予定している場合は、最初に向き合うのが海外転出届の手続きです。
この記事では、海外移住を検討している方へ海外転出届の提出方法とポイントについて詳しく解説します。最後まで読めば、海外での新しい生活をスムーズにスタートするための情報を手に入れることが可能です。
海外生活の計画を進めるうえで、海外転出届の提出はとても重要なプロセスです。
海外赴任が決まった方、これから予定している方、将来的に海外での生活を考えている方は、ぜひこの記事を参考にして下さい。
もくじ
海外転出届の基礎知識
- 海外転出届の基本情報
- 海外転出届の届出期間と場所
- 海外転出届を提出することによる影響
海外に1年以上滞在する予定がある方は、非居住者の扱いとなるため、日本を出国する前に海外転出届の提出が必要です。
ここからは、海外転出届の基礎知識について解説します。
海外転出届の基本情報
海外転出届は、日本から海外に転居する際に提出する書類です。届出を行うと、自分の住民票が国外転出者名簿に移動し、住民税や社会保険などの住所に基づく公的な手続きが変更されます。
居住者・非居住者に関しては国税庁のHPでも説明されていますので参考にして下さい。
海外転出届の届出期間と場所
海外転出届の届出期間と場所は、以下のとおりです。
- 届出は転出予定日の14日前ごろから可能
- 届出場所は住所地の市区町村役場または支所
- 在住地の市区町村によってはオンラインでの届出が可能
海外転出届を提出すると、海外へ渡航する日付けで国外へ転出した扱いになります。
一部の市区町村では、郵送での海外転出届の提出も受け付けているため、遠方にお住まいの方でも手続きが可能です。
海外転出届を提出することによる影響
海外転出届を提出すると日本では非居住者の扱いになり、国内の公的手続きにも影響があることを理解しておきましょう。
海外へ移住する場合の税金や住宅ローン控除などの手続きに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
海外赴任中の税金はどうなる?課税の条件・住宅ローン控除や児童手当についても解説!
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海外転出届の手続き方法
- 届出のタイミング
- 必要書類と提出先
- 代理人による届出方法
海外転出届は、移住者の権利や義務に関わる重要な手続きなので、正確に理解し計画的に進めることが大切です。
ここからは、海外転出届の手続き方法について解説します。
届出のタイミング
海外転出届は、転出日の約14日前から提出できます。出国日の前日までに手続きを済ませましょう。予定日が未確定の場合でも、予定している日を基にして届け出が可能です。
提出は、お住まいの市区町村役場の開庁時間内に行います。一部の市区町村では、平日以外にも受付可能な場合があるため、役場の開庁日や時間を事前に確認し、余裕を持って手続きを進めましょう。
必要書類と提出先
海外転出届を提出する際には、以下の必要書類を正確にそろえ、住民登録している市区町村の役場や出張所へ提出しましょう。事前に必要書類を確認することで、手続きがスムーズに進められます。
- 住民異動届(海外転出届)
- 本人確認書類
- マイナンバーカード、住民基本台帳カード(お持ちの方のみ)
- 在留カード、特別永住者証明書(外国人住民の方のみ)
転出届は、住民登録をしている市区町村の役場やWEBサイトからも入手できます。事前に確認し、入手しておくようにしましょう。
代理人による届出方法
本人が届出を行えない場合は、委任状を使って代理人が代わりに手続きを行うことができます。
代理提出は、本人の届出が難しい場合に有効な手段です。手続きをスムーズに進めるためにも、事前の確認と書類の準備しておくようにしましょう。
海外転出届の税金・年金への影響
- 所得税への影響
- 住民税の扱いと納税義務
- 国民年金・厚生年金への影響
海外に1年以上滞在する場合は、転出届以外にも必要な手続きがいくつかあります。
ここからは海外転出届を行った後の影響について解説します。
所得税への影響
海外転出する場合の所得税の納税義務については、居住者か非居住者かで決まります。
- 居住者:日本国内に住所があり、1年以上住んでいる方
- 非居住者:海外滞在期間が1年を超える方
海外転勤などで非居住者となった場合は、国内の源泉所得のみが所得税の課税対象となります。したがって海外での給与所得については、日本の所得税の課税対象にはなりません。
ただし、日本国内で不動産や資産運用などにより得た収入については課税対象となり、確定申告および納税をしなければなりません。
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住民税の扱いと納税義務
住民税は、毎年1月1日に日本国内に住所がある方が課税対象になります。
前年の所得をもとに計算され、その年の6月〜翌年5月まで1年かけて納税します。会社員の場合は、住民税は特別徴収(毎月の給与から天引き)で自治体へ納付されるのが原則です。
2023年分については、2024年1月1日時点で海外に居住しているため課税はされません。
例:2023年3月から海外赴任した場合
ただし、単身赴任などで日本国内に居住できる家屋を所有している場合は、住民税の均等割が課税(家屋敷課税)されることがありますので、注意が必要です。
国民年金・厚生年金への影響
海外赴任となった場合の年金については、国民年金と厚生年金によって違いがあります。
国民年金の場合
海外赴任によって海外に居住する場合、国民年金については被保険者ではなくなります。
ですが日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます。
<国民年金の納付先>
・これから海外に転居する方:お住まいの市区町村
・すでに海外に居住している方:日本での最後の住所を管轄する年金事務所または市区町村
<保険料の納付方法>
・国内にいる親族等に代わりに支払ってもらう
・日本の預貯金口座から引き落とす
詳しく知りたい方は、日本年金機構のページに記載がありますので参考にして下さい。
日本年金機構|国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)
厚生年金の場合
厚生年金については赴任する国や期間によっても異なりますが、基本的には厚生年金に加入し続けます。
ただし、赴任先の国でも社会保障の加入義務がある場合は、二重支払いとなってしまいます。
日本と社会保障協定を締結している国であれば、どちらか一方の年金に制度に加入することができます。
- 赴任期間が5年未満と見込まれる場合:日本の社会保障制度
- 赴任期間が5年以上と見込まれる場合:協定相手国の社会保障制度
<2022年6月1日時点での社会保障協定発行状況>
協定が発効済みの国 | ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン |
署名済み未発効の国 | イタリア(2009年2月署名) |
社会保障協定が無い国へ赴任する場合は、日本の厚生年金と赴任国での社会保障制度の両方に加入しなければなりません。
海外転出届以外の手続きについて
海外転出届の提出以外にも、準備すべきことはたくさんあります。海外へ移住するにはやらなければならないことが多くありますが、めげずにがんばりましょう。
ここからは海外届出の提出以外で準備すべきことについて、いくつか紹介します。
- 国際免許証の取得
- 自家用車の処分
- 電気ガス水道の解約
- 郵便局の転送手続き
- インターネットの解約
- 携帯キャリアの解約
- NHKの解約手続き
- 英文診断書・常備薬の準備
- 現地通貨の用意
- 不用品の処分
- 日用品など海外赴任の持ち物を準備
国際免許証の取得
赴任先で車を運転する予定がある場合は、国際免許証を取得しておくようにしましょう。
有効期限内の運転免許証を持っていれば、免許センターや警察署で申請できます。
必要なもの
- 運転免許証
- 写真(縦45mm x 横35mm)
- パスポート
- 手数料:2,350円
国際免許証は発行日から1年間有効です。国にもよりますが、長期の滞在の場合は現地の免許証を取得することができる国もあります。
また、日本の免許証の有効期限にも注意しましょう。
海外からの更新手続きや代理人による手続きは認められていないため、有効期限が切れる前に一時帰国する際に更新するようにしましょう。
自家用車の処分
自家用車を所有している場合は、車を保管しておくか、売却・譲渡などで処分する必要があります。
売却をする場合は中古車販売店やオンライン査定をしてもらい、いくらで売却するかを検討しましょう。
自家用車を売却する際は印鑑証明書が必要になりますので注意が必要です。
印鑑証明書は海外転出届けを提出してしまうと発行ができなくなってしまうため、必ず転出する前に印鑑証明書を受領してから売却するようにしましょう。
中古車の買取は下記が便利です。
・カーネクスト
・楽天Car車買取
・JCM:海外赴任者専用の車買取サービス。出国ギリギリまで乗れる
特にJCMについては出国ギリギリまで使用でき、空港での引き渡しもできるため、おすすめです。
また、自動車保険の解約も必要ですので、忘れずに保険会社へ連絡するようにしましょう。
電気・ガス・水道の解約
電気・ガス・水道については赴任の1ヶ月前頃から解約の申し込みが可能です。
契約している電力会社やガス会社・水道局へ連絡して、それぞれの指示に従い解約の手続きを進めましょう。
郵便局の転送手続き
赴任前1ヶ月になったら、郵便局にも転送の手続きをするようにしましょう。
転送の手続きは郵便局のホームページからオンラインで申し込みができるので便利です。
インターネットで転居届を提出しておけば、届いた郵便物や荷物を実家などの住所へ転送してくれます。
転送期間は1年間有効ですので、長期に渡って海外駐在する場合は、毎年更新するようにしましょう。
インターネットの解約
インターネットサービスについても解約手続きをするようにしましょう。
解約手続きは電話やオンラインから手続きすることができます。
事前に解約に関する情報を確認し、解約の手続きや料金(日割りor月払い)などについて理解しておくことをおすすめします。
また、ルーターやモデムなどの機材を借りている場合は返送が必要ですので、解約時の指示に従って郵送するようにしましょう。
携帯キャリアの解約
海外で日本の携帯電話を使用するとものすごく高額になってしまうため、以下の3つから対応を選ぶことをおすすめします。
- 番号が必要なければ解約する
- 格安プランに変更する
- 電話番号預かりサービスを利用する
もし日本の携帯番号が必要ないということであれば、解約しましょう。
番号を残しておきたい場合は、格安SIM(約1,000円/月程度)にするか、電話番号の預かりサービス(約400円/月程度)を利用すると良いでしょう。
NHKの解約手続き
NHK受信料も海外赴任する前に必ず解約するようにしましょう。
NHKふれあいセンターに電話して所定の用紙を取り寄せ、必要事項を記入し返送すれば解約することができます。
解約せずに海外へ渡航してしまうと、受信料が引き落としされ続けてしまいますので、必ず事前に解約しておくようにしましょう。
英文診断書・常備薬の準備
海外赴任先でも困らないよう、持病がある場合は英文診断書を準備しておくと良いでしょう。
英文診断書は、かかりつけ医に書いてもらうことができます。
また、海外の薬は日本とは効き目が違ったり、副作用が強いことも考えられます。
- 頭痛薬
- 胃薬
- 酔い止め
- 下痢止め
- 目薬
など、普段から飲み慣れた薬を常備薬として準備しておくと良いでしょう。
現地通貨の用意
赴任先でクレジットカードが使えない場合に備えて、現地通貨も事前に準備しておきましょう。
それほどたくさん持っておく費用はありませんが、数万円は持っておくと安心です。
また、海外ではトイレが有料な国も多くあります。
例えば私が在住していたヨーロッパではトイレは基本的に有料です(0.5ユーロ〜1ユーロ程度)。
ですので現地へ到着したら、お札だけでなく硬貨もいくらか持っておくようにしましょう。
外貨への両替はマネーバンクがおすすめ
- 待ち時間がない
- 外貨を宅配で届けてくれる
- 空港や銀行よりも手数料が安い
外貨への両替といえば空港や銀行が一般的ですが、待ち時間が長かったり、手数料が高かったりします。
外貨両替マネーバンクであればWebで申し込みができ、受け取りは宅配でも空港で受け取りでもできるため便利です。
不用品の処分
海外生活に必要なものは現地でも調達することができますので、不要なものは売却もしくは処分をするようにしましょう。
売却・処分の方法としては以下の5つがあります。
- オークションやフリマアプリを利用する
- 宅配買収を利用する
- リサイクルショップを利用する
- 不用品回収業者に引き取ってもらう
- 粗大ゴミとして処分する
オークション・フリマアプリ
不用品の処分には、オークションやフリマアプリの利用がおすすめです。
個人的には服や本などはメルカリで出品していました。
出品や梱包作業、配送手続きなどはありますが、リサイクルショップに持っていくよりも高く売ることができるので、おすすめです。
宅配買収
オークション・フリマアプリなどで売れ残ったものは宅配買取へ出すと良いでしょう。
・宅配買取ブランディア:ブランド品の宅配買取
・カインドオル:ブランド古着の宅配買取
・ブックサプライ:本・漫画・DVD・ゲームなど
オークションやフリマアプリだと出品から売却まで時間がかかるため、なるべく早く現金化したい方におすすめの方法です。
リサイクルショップを利用する
・セカンドストリート
・エコリング
・買取屋さんグループ
・ハードオフ
家電・家具・おもちゃ類はリサイクルショップを利用すると良いでしょう。
リサイクルショップが近くにあれば、手持ちしてすぐに現金化が可能です。
近くにない場合でも宅配買取・出張買取サービスもありますので利用してみてください。
不用品回収業者に引き取ってもらう
売れ残ったものや大きな不用品などは、不用品業者に引き取ってもらう方法もあります。
おすすめはくらしのマーケットです。
お住まいの近くのエリアから、口コミ・相場などを見ながら業者を選ぶことができます。
不用品だけでなくハウスクリーニングや引っ越し手伝いなど、さまざまなサービスを利用できるため便利です。
粗大ゴミとして処分する
今までの方法で、家庭にあるものはほぼすべて処分することができますが、どうしても処理できないものは粗大ゴミとして処分します。
自治体によって料金は異なりますが、250円〜1,000円程度の処分費用がかかります。
詳細についてはお住まいの地域の役所サイトなどで確認することができます。
コンビニなどでリサイクル券を購入し、粗大ゴミ回収日に収集場所まで持っていくようにしましょう。
日用品など海外赴任の持ち物を準備
日本で使い慣れたもの、現地では手に入らないようなものなど、赴任先へ持っていく日用品を準備しましょう。
赴任してから一時帰国するまでの期間を考え、不足しないようにする必要があります。
スーツケースに入らない場合は船便や航空便で輸送するなど、荷量も考えて準備するようにしましょう。
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まとめ
海外転出届は、長期に渡り海外へ滞在する方にとって大切な手続きです。
うっかりして転出届の提出を忘れてしまうと、後々の手続きがとても面倒になってしまいます。お住まいの市町村役場のホームページなどを事前に確認し、しっかりと準備しておくようにしましょう。
また、転出届以外にもたくさん準備すべきことはたくさんあります。準備の目安としては約6ヶ月くらい前から余裕を持って準備することをおすすめします。
海外への移住は大変なことも多くありますが、人生において大きなアドバンテージになります。
今回の記事が海外転出届でお悩みの方のお役に立てれば嬉しいです。
それではまた次の記事でお会いしましょう。Have a great day!
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