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海外赴任中の税金はどうなる?課税の条件・住宅ローン控除や児童手当についても解説!

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「海外赴任中も日本の税金は払う必要があるの?」

「海外赴任中はどうやって納付すればいいの?」

「住宅ローン控除や児童手当、年金はどうなるの?」

海外赴任する際に、所得税や住民税などの税金について不安を感じている方は多いですが、事前に把握しておけば大丈夫です。

この記事では、海外赴任をする際の税金の取り扱いや、住宅ローン控除や児童手当の受給などについてわかりやすく解説します。

この記事を読めば、海外赴任中の日本の税金の取り扱いについて知ることができます。

これから海外赴任を予定している方、すでに海外に駐在している方で日本の税金について知りたい方は、ぜひこの記事を参考にして下さい 😉

それではさっそく見ていきましょう!

もくじ

海外赴任中の所得税は「居住者」か「非居住者」で異なる

  • 「居住者」「非居住者」とは
  • 居住者の所得は国内外問わず課税の対象
  • 非居住者の所得は国内のみ課税の対象

海外赴任中の所得税は「居住者」か「非居住者」によって異なります。

ここからは、税法上における「居住者」「非居住者」および課税の対象について解説します。

「居住者」「非居住者」とは

まずは税法上における「居住者」「非居住者」について整理しましょう。

居住者とは

「居住者」とは、日本国内に住所があり、1年以上日本に住んでいる・もしくは住む予定がある方です。

ですので、海外赴任で1年以上海外に滞在する場合は、日本の居住者ではなくなります。

逆に、海外赴任となった場合でも赴任期間が1年未満であれば、居住者としての扱いとなり、課税対象となります。

居住者の場合は、非永住者であるかどうかによっても取り扱いが変わります。

参考:国税庁|No.2010 納税義務者となる個人

非居住者

「非居住者」とは、「居住者」以外の方を指します。

つまり海外赴任の期間が1年以上であれば、「非居住者」となります。

1年以上海外に滞在する場合は、市区町村へ転出届を提出することで非居住者扱いとなりますので、忘れずに届け出るようにしましょう。

参考:国税庁|No.2875 居住者と非居住者の区分

居住者の所得は国内外問わず課税の対象

前述の通り、海外赴任の期間が1年未満の場合は「居住者」となります。

居住者の場合は、国内での所得(国内源泉所得)および国外での所得(国外源泉所得)について、所得税が課税の対象になります。

確定申告や年末調整についても日本で行う必要があります。

非居住者の所得は国内のみ課税の対象

海外赴任の期間が1年以上であれば、「非居住者」の扱いとなります。

非居住者の場合は、国内源泉所得のみが所得税の課税対象となり、海外での給与所得については、日本の所得税の課税対象にはなりません。

ただし、日本国内で不動産や資産運用などにより得た収入については課税対象となり、確定申告および納税をしなければなりません。

確定申告・納税には納税管理人を立てる必要があります。

納税管理人は日本で納税義務のある人に代わって納税手続きや確定申告を行う人のことです。

非居住者が納税している税務署の署長宛てに届出書を提出することで、確定申告書の提出や納税を代理してもらえるようになります。

該当の方は、出国前に届出を提出するようにしましょう。

海外赴任中でも課税対象になる所得

  • 海外勤務で得た所得は原則課税されない
  • 日本国内での所得は課税対象になる

海外赴任中の所得税は「居住者」か「非居住者」によって分かれることについて解説しました。

次は、海外赴任中でも日本の税金の課税対象となるものには、どんなケースがあるのか?について解説します。

海外勤務で得た所得は原則課税されない

非居住者に該当するのは、1年以上海外に滞在する予定がある方です。

非居住者が海外で得た給与に対しては、原則的に日本の所得税は課税されません。

ただし、海外赴任をする年の1月1日から出国日までの給与所得は、年末調整で所得税の申告および納税をする必要があります。

日本国内での所得は課税対象になる

海外赴任で非居住者となったとしても、日本国内での所得がある場合は課税対象となるため、確定申告が必要です。

  • 不動産の賃貸収入や譲渡
  • 株式や有価証券などの売買
  • ゴルフ場などの施設利用にかかる権利の譲渡

例えば、上記のケースなどによって得た所得については、居住者と同じく確定申告をする必要があります。

日本国内での所得が発生する場合は、納税管理人を選定して代わりに納税してもらう必要がありますので、出国するまでに非居住者が納税している税務署の署長宛てに届出書を提出するようにしましょう。

もし納税管理人の届出を出国までに提出していない場合は、出国の翌年から毎年自分で確定申告しなければならなくなりますのでご注意ください。

海外赴任中の住民税について

  • 住民税は1月1日時点で日本に住んでいるかで決まる
  • 海外赴任者が住民税を支払う方法
  • ふるさと納税をしたあとに海外転勤になった場合

ここまでは海外赴任中の所得税の取り扱いについて解説しました。

海外赴任中の税金について気になるものとして、もう一つ住民税があります。

ここからは海外赴任中における住民税の取り扱いについて解説します。

住民税は1月1日時点で日本に住んでいるかで決まる

住民税は、毎年1月1日に日本国内に住所がある方が課税対象となっています。

前年の所得をもとに計算され、その年の6月〜翌年5月まで1年かけて納税します。

会社員の場合は、住民税は特別徴収(毎月の給与から天引き)で自治体へ納付されるのが原則です。

たとえば、2023年3月に海外赴任する場合、2023年1月1日時点では日本国内に住所があるため、2022年の所得をもとに住民税が計算され、2023年6月〜2024年5月の間は住民税を納税しなければなりません。

2023年分については、2024年1月1日時点で海外に居住しているため課税はされません。

例:2023年3月から海外赴任した場合

ただし、単身赴任などで日本国内に居住できる家屋を所有している場合は、住民税の均等割が課税(家屋敷課税)されることがありますので、注意が必要です。

海外赴任者が住民税を支払う方法

海外へ赴任した後も日本で給与が支払われる場合は、これまで通り給与から天引きされて納税されます(特別徴収)。

ただし、日本を出国後に退職して特別徴収が不可能となった場合は普通徴収へ切り替わるため、住民税を自分で納税するか、納税管理人を選定して支払う必要があります。

ふるさと納税をしたあとに海外転勤になった場合

ふるさと納税は、自分が選んだ自治体へ寄付金を支払った場合に、翌年の住民税と所得税から寄付額が控除される制度です。

しかし、海外赴任により翌年の1月1日に日本国内に住所がない場合は、住民税を納付する義務がなくなるため、ふるさと納税の控除も受けられなります。

ふるさと納税で寄付額を支払った翌年の1月1日以降に日本を出国する場合は、その年は住民税も納付しなければなりませんので、控除を受けることができます。

海外赴任を予定している方は、ふるさと納税のタイミングに気をつけるようにしましょう。

海外赴任中の固定資産税・都市計画税について

  • 固定資産税・都市計画税とは
  • 固定資産税・都市計画税は海外に住んでいても納税義務がある

これまで海外赴任中の所得税と住民税について解説してきましたが、この他にも固定資産税・都市計画税があります。

ここからは、海外赴任中の固定資産税・都市計画税について解説します。

固定資産税・都市計画税とは

固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点での土地・家屋の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方に対して課税される税金です。

その土地・家屋の固定資産の価格をもとに算出され、その固定資産が所在する市町村によって課税されます。(東京23区については特例で都が課税)

都市計画税

都市計画税とは、都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるために、目的税として課税されるものです。

こちらも固定資産税と同様に、毎年1月1日時点での土地・家屋の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方に対して課税されます。

参考:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

固定資産税・都市計画税は海外に住んでいても納税義務がある

海外赴任で非居住者となったとしても、日本国内に土地や家屋を所有している場合は、出国後も固定資産税や都市計画税を支払わなければなりません。

納税方法については、銀行引き落としによって自動で納付するか、納税管理人を選定して代理で納付してもらう必要があります。

納税管理人の選定・届出方法について

  • 納税管理人とは、申告や納税を代わりにやってくれる人
  • 納税管理人の届出方法

海外赴任で出国した後でも日本への納税義務がある場合、納税管理人を選定して申告や納税を依頼することができます。

ここからは、納税管理人の選定・届出方法について解説します。

納税管理人とは、申告や納税を代わりにやってくれる人

納税管理人は、日本で納税義務のある人に代わって納税手続きや確定申告を行う人のことです。

海外赴任や高齢者など、納税や確定申告をするのが困難な時などに、納税代理人を選定して代理で手続きをしてもらうことができます。

納税代理人には特に資格などは必要ないため、法人でも個人でも誰でもなることができます。

納税管理人の届出方法

納税管理人を選任したら、非居住者が納税している税務署の署長宛てに届出書を提出することで、確定申告書の提出や納税を代理してもらえるようになります。

納税管理人の選定・届出は出国前に手続きが必要です。

届出書を提出した後は、市区町村が発行する書類は納税管理人あてに送付されます。

納税先は非居住者がこれまで納税していた税務署となり、非居住者の印鑑が必要です。

前述の通り、納税管理人は誰でもなることができるため、家族や友人にも依頼することができますが、税金の手続きに慣れていない方や不安がある場合は、税理士に依頼すると良いでしょう。

国税庁|所得税・消費税の納税管理人の届出手続

海外赴任中の住宅ローン控除・児童手当・年金について

  • 住宅ローン控除は単身赴任か帰国後に控除期間が残って入れば受けられる
  • 児童手当はケースによって異なる
  • 年金については国民年金・厚生年金によって異なる

日本では住宅ローン控除や児童手当などをある一定の期間、受けることができます。

ですが海外赴任を命じられた場合、これらの控除や手当はどうなってしまうのでしょうか?

また、国民年金や厚生年金についても、海外赴任するとどうなってしまうのか気になりますよね。

ここからは、海外不妊となった場合の住宅ローン控除・児童手当・年金について解説します。

住宅ローン控除は単身赴任か帰国後に控除期間が残って入れば受けられる

海外赴任となった場合でも、単身赴任であれば家族は日本に居住するため、住宅ローン控除を受けることができます。

ただし、控除の対象は日本での所得のみとなり、適用には以下の要件を満たす必要があります。

・家屋を取得後6ヶ月以内に入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後は、その家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるとき
・平成28年4月1日以降に取得した家屋であること
・勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること

また、家族帯同で海外赴任する場合でも、帰国後に控除期間が残っていれば、残りの期間で引き続き住宅ローン控除を受けることができます。

住宅ローン控除の詳細や税務署への申告方法については、以下の国税庁HPを参考にして下さい。

国税庁|転勤と住宅借入金等特別控除等

児童手当はケースによって異なる

児童手当は0歳から15歳までの間、住民票の登録がある市区町村から支給されます。

海外赴任となった場合に児童手当が受けられるかは、ケースごとによって異なります。

以下で4つのケースについて紹介します。

単身赴任の場合 日本に残る方の親を受取人にすれば受給できる
家族全員で海外へ行く場合 受給できません
両親が海外、子供が日本に残る場合 日本で子供の面倒を見る人を受取人にすれば受給できる(祖父母など)
両親が日本、子供が海外へ行く場合 原則受給できないが、留学の場合は以下の条件で受給できる
・日本から海外へ住所の移転をする日の前日までに、3年以上日本に住所があった
・教育を受けるために海外生活で両親等と同居していない
・日本から海外へ住所を移してから3年以内


引用:保険のはてな|海外赴任したとき児童手当はどうなる?受給を継続できる条件を紹介

年金については国民年金・厚生年金によって異なる

海外赴任となった場合の年金については、国民年金と厚生年金によって違いがあります。

国民年金の場合

海外赴任によって海外に居住する場合、国民年金については被保険者ではなくなります。

ですが日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます。

<国民年金の納付先>
・これから海外に転居する方:お住まいの市区町村
・すでに海外に居住している方:日本での最後の住所を管轄する年金事務所または市区町村

<保険料の納付方法>
・国内にいる親族等に代わりに支払ってもらう
・日本の預貯金口座から引き落とす

詳しく知りたい方は、日本年金機構のページに記載がありますので参考にして下さい。

日本年金機構|国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)

厚生年金の場合

厚生年金については赴任する国や期間によっても異なりますが、基本的には厚生年金に加入し続けます

ただし、赴任先の国でも社会保障の加入義務がある場合は、二重支払いとなってしまいます。

日本と社会保障協定を締結している国であれば、どちらか一方の年金に制度に加入することができます。

  • 赴任期間が5年未満と見込まれる場合:日本の社会保障制度
  • 赴任期間が5年以上と見込まれる場合:協定相手国の社会保障制度

<2022年6月1日時点での社会保障協定発行状況>

協定が発効済みの国 ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン
署名済み未発効の国 イタリア(2009年2月署名)

引用:日本年金機構|社会保障協定

社会保障協定が無い国へ赴任する場合は、日本の厚生年金と赴任国での社会保障制度の両方に加入しなければなりません。

海外赴任中の税金に関する質問

Q: 海外駐在していても、ふるさと納税はできるの?

A: 寄付はできますが、控除はできません。

海外赴任して非居住者となった場合、翌年の1月1日時点で日本に居住していないため、住民税自体が発生しません。

このため、ふるさと納税で寄付金を支払ったとしても、返礼品が送られてくるのみとなりますのでおすすめしません。

まとめ

今回は海外赴任中における税金に関して解説しました。

会社員として日本で働いている時は、給料から自動的に天引きされるので特に気にしていない方が多いですが、海外赴任するとなると税金がどうなるのか気になりますよね。

住宅ローン控除や児童手当についても、ケースによっては海外赴任中も支給が受けられる場合もありますので、事前に確認しておくようにしましょう。

海外赴任が決まってから出国するまでにやるべきことについては下記の記事でも紹介していますので、もし良かったら読んでみて下さい。

この記事が、海外赴任での税金について不安がある方のお役に少しでも立てれば嬉しいです。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

Have a great day!